2018年5月20日日曜日

日大・友達袋・CCさくら

 会社で「日大が話題になっとるやーん」と嘲られる。アメフトのタックルの件である。たしかにひどい話である。競技のことは詳しく知らないのでなんとも言いようがないが、発覚後の態度の悪さがとにかくひどい。このSNS全盛のウェブ社会において、いまどきこんなに評判を気にしない、悪い体制を隠そうとしない団体があるかよ、と衝撃を受けた。
 それはそれとして、日大のことで僕をいじられても困る。日本大学という巨大な組織の、中心と言ったらどこらへんのことになるのか、さっぱり分からないけれど、芸術学部がそこから外れていることだけは断言できる。あまりこういうことを言うと、芸術という分類の性質ゆえに、鼻にかけている感じがどうしたって出てしまい、もちろんその種の特権意識みたいなものがまったくないわけではないのだが、かと言って在籍した4年間によって芸術への造詣が一般人をはるかに凌駕するレベルに到達したかと言えばそんなこともまるでなく、しかし曲がりなりにも高い授業料を払って修了したからには対外的には一目置かれたって罰は当たらないじゃないかという思いもあり、そのあたりはなかなかに複雑な心模様なのだけど、とにもかくにも言いたいのは、日芸生には日本大学という組織への帰属意識がほとんどない、ということなのである。僕は出身地を訊かれても、よく言われるように「神奈川県」ではなく「横浜」と答えるし、なんかその手の鼻につく感じには筋金が入っている。
 それなので、日本大学いじりをされて、とても驚いた。日本大学出身者として扱われていたのか、というショックみたいなものも正直少しあった。それでちょっと頭に来たので、母校名物の悪質なタックルを喰らわせてやろうかと思ってしまった。日大出身者はみんなあれ出来るんだよ。

 LINEの友達がふたり増える。職場の、それなりに話す同僚に、「LINEの友達って何人いるの? 俺6人なんだけど。そのうち3人は仕事の人で、もう3人は妻と母と姉なんだけど」と話しかけたら、「え、じゃあ交換する?」と相手が言ってくれ、QRコードを読み取る画面の出し方が分からなかったからその操作もしてもらって、登録した。やったぜ。しかし登録したらしたで、職場の同僚と改めて話すことなんてなにもないものだなあと気付いたり、と言うかLINEってチャットみたいな感じだから、家族とか、あるいは仕事上の事務的な連絡とか以外では、1対1で語り合うのってちょっと重くない? などと思ったりして、まだなにも発言していない。登録してもらっておいてなんの挨拶もしないという状態が果たして正しいのかどうかも解らない。解らないことだらけだ。山から降りて初めて舞踏会に出たような気持ちだ。誰か俺をひとりの立派なレディーに仕立て上げろよ。
 でも、そんなヘロヘロの友達状態の僕だけど、そんな僕だからこそ説得力がある気がしないでもないこととして、友達って質より量なのだ。本当にそう。量より質とか言う奴は絶対に負け惜しみだと思う。3人くらいしか友達と呼べる人間ができない、負け犬の遠吠えなのだと思う。本当に、ひとりも友達がいない僕が、どこまでも透き通った瞳で世の中を見つめて、そしてこう主張したい。友達は質より量。大事なのは量だ。食べものなら量より質だってことはある。なぜなら胃袋の大きさには限りがあるから。友達はそうじゃない。友達袋は四次元ポケット。いくらでも入る。だからたくさん入っていたほうがいいに決まってる。ピンチのとき、パニックになって、あれでもない、これでもない、となかなか目当てのものが出てこない、そんなくらいに中身がいっぱい詰まっていればいい。

 始まったときにはとてもワクワクしていた「カードキャプターさくら クリアカード編」なのだけど、最近は視聴が追いつかず、ハードディスクに毎週自動で録画されるのがどんどん溜まって、ファルマンから顰蹙を買いはじめている。
 なぜ視聴が追いつかないのかと言えば、視聴の触手がなかなか伸びないからで、心が躍っていれば、ファルマンにとっての「おっさんずラブ」のように、この人これが終わったら脱け殻みたいになるんじゃねえかな、と不安になるくらい、がっついて観るのだけど、残念ながら今の僕にとって「カードキャプターさくら クリアカード編」はそうではないのだった。
 ここに、このアニメに対してとにかく付き纏う、時代の流れ、現実世界の自分の加齢をまたしても痛烈に感じる。アニメは、さくらが小学6年生から中学1年生になったことと、携帯電話がスマートフォンになったこと以外、作品としての本質はほとんど変わっていない。だから、それがきちんと愉しめなくなったということは、僕のほうが変わったということになる。
 20年近く経っているのだから当たり前だ、変わっていないほうが不健全だ、というのはもっともだが、どうしても寂しさがある。劇画オバQのような寂しさ。そうか、パピロウはもう大人になっちゃったんだな……。もう李くんの桃まんくらいでしか愉しめなくなっちゃったんだな……。